熱型IRセンサー
熱型のIRセンサーは波長帯域が広く常温で使用できるので、冷却装置を必要とせず、搭載する製品の小型・軽量化に役立ちます。
IRセンサー(Infrared Sensor)とは、赤外線を利用したセンサーのことで、一般的に赤外線センサーとも呼ばれています。IRセンサーは人や物などが発する熱(赤外線)を検知して、さまざまな機器を動作させます。ここでは日々の生活を便利にしてくれるIRセンサーについて、特徴や活用事例を紹介します。
IRセンサーは赤外線を受光して電気信号に変えるセンサーです。その動作原理は主に2種類あり、赤外線の熱によって変化する電気的性質を検知する熱型センサーと、光エネルギーによる電気現象を検知する量子型センサーに分かれます。
熱型のIRセンサーは波長帯域が広く常温で使用できるので、冷却装置を必要とせず、搭載する製品の小型・軽量化に役立ちます。
量子型のIRセンサーは検出感度が高く、応答速度に優れています。なお、高感度を生かすには冷却装置が必要となります。
MEMSを使ったIRセンサーは超小型化でき、量産性にも優れています。主な使用用途には、冷蔵庫やエアコンなどの白物家電や温度モニタリング機器、異常温度監視のシステムなどの用途で使用されています。
温度を感知するセンサーとしては、安価なサーミスタが広く使用されています。MEMSを使ったIRセンサーはサーミスタよりも応答性が良く、接触・非接触両方で検知できるため、さまざまな機器で置き換わってきています。特にMEMSは小型化でき量産性にも優れているため、安全性や利便性などの付加価値をつけるといった目的からも、白物家電に搭載されることも多くなっています。
IRセンサーは私たちの身近なところでも数多く使用されています。例えばエアコンでは室内に居る人から発せられる熱を検知したり、冷蔵庫では効率よく冷やすために庫内の食材の温度ムラを感知します。また最近では、非接触型の体温計に採用され、対象となる人の近くでボタンを押すと一瞬で体温を測ることができます。さらに異常温度監視システムにも活用されています。
ミネベアミツミのIRセンサーはMEMS技術を用いたサーモパイル型センサーです。対象物が放射する赤外線の入射エネルギー量(熱)に比例した熱起電力を得る原理を活用して、対象物の表面温度を非接触で測ることができます。またその出力をセンサー内部でデジタル値に変換して出力します。
ミネベアミツミのIRセンサーは雑音等価温度差(NETD)が0.06℃以下と業界最高クラスの低ノイズ性能を有しており、温度差を細かく見ることができます。また温度値が直接出力されるためアプリへの応用も簡単です。加えて、IRセンサーはコネクタユニットが一体化しているため、別途センサー専用の基板を用意する必要がなく、自由度の高い取り付けが可能です。
MMS701 | |
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電源電圧範囲 [VDC] | 4.5~5.5(5.0 typ.) |
対象物温度範囲[deg C] | -40~80 |
動作温度範囲[deg C] | -40~80 |
視野角 [°] | 25 |
画素数 | 1(1 pixel) |
温度分解能(NETD)[deg C] | 0.06 |
温度精度 [deg C] | ±1.5 max.(@調整ポイント) |
消費電力 [mA] | 3.5 typ. |
インターフェース(出力方式) | I2C |
寸法[mm] | 11.6×12.0×8.7* |
裏面コネクタを含む
調整ポイント:(1) Tx=5℃、Ta=5℃ (2) Tx=25℃、Ta=5℃ (3) Tx=25℃、Ta=5℃ Tx:対象物温度、Ta:参照温度
一般的なIRセンサーと同様にミネベアミツミの製品も、さまざまな家電製品への活用が期待できます。冷蔵庫やエアコン以外にも、衣類乾燥機では衣類の表面温度を検知して乾燥ムラを防ぐ機能に役立てられたり、美顔器の肌温度を検知してトラブルを防止する機能にも活用できます。